とあるバンドにドラマーとして加入した。




正確には、「なんだかわからない間にメンバーにさせられていた」という言い方ががしっくりくるのかもしれない。
先日ブックオフの前でばったりと再開した高校時代の友人がバンドをやっているという話からすべては始まった。



「・・・うちのバンド、今ドラマーがいないんだて」


「へー、おれ最近ドラムやってるんだわ」


「マジで?今度俺らが練習するときゲストで叩きに来やー」


「いいよ、ヒマだし」



このような会話がブックオフの駐車場の片隅で成され、その後彼等のバンド練習に2,3回顔を出して叩いたりしていた。




で、今日もその練習に参加してきたのだが、練習の合間の休憩中、唐突に、何の前触れも無く、「あ、お前うちのバンドに正式加入になったから」と告げられた。
突如の発表に少々狼狽するおれ。
しかし、これといって積極的に断る理由も無いし、独りで黙々と練習してるよりは他人と合わせられる方が良いし、何よりおれはヒマなのだ。金はないが。
というわけで、「へー、そうなの」という一言で了承するに至った。







が、ひとつ問題がある。
それは、おれの加入したそのバンドがかなりの「80's寄りのハードロック・バンド」である、ということだ。
彼等がリスペクトするバンドを幾つか挙げると、ガンズ・アンド・ローゼズエアロスミスMR.BIGなどがある。
なんというか、こう、コテコテ。
そんなバンドに、レッド・ツェッペリンレディオヘッドBECKレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンサイモン&ガーファンクルZAZEN BOYSを順番にカーステレオで流してエクスタシーを感じているおれが加入したのだ。
よくロックバンドの解散の理由として「音楽性の違い」が語られているが、おれの場合、バンドに加入した瞬間から「音楽性の違い」を意識せざるを得ないのである。




しかし、だ。



歴史をさかのぼってみれば、ロックとは様々なジャンルの衝突によって散るスパーク(火花)の音楽なのだ。
ブルースに始まり、クラシックやヒップホップ、エレクトロニカに至るまで、ロックは様々な音楽との接触を貪欲に試み、常に新しい「何か」を生み出してきたのだと言える。
言い換えれば、「音楽性の違い」を乗り越えた先にある音楽こそ、それ即ちロックではないのか。
保守的なロックなどロックじゃねぇ。ファック!
そしておれは今、ロックを愛する者として、「音楽性の違い」を恐れることなく、堂々とこの、ともすれば時代錯誤的なハードロック・バンドに加入す・・・。



というのは、まぁお題目で、単純に「やってて楽しいし、気持ちいい」ので加入した。
メンバーの音楽に対する姿勢は非常に真剣で良いし。
というわけでドラム練習にも身が入るわけで。