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卒論である。
SOTSURONである。
アルファベットにしたところで、奴の醸し出す重苦しい響きは何一つ変わることはない。
ついに。ついについに。
奴を直視せねばならない時期がやってきた。
今まで、じりじりとおれとの間合いを詰めてくる奴の姿を、視界の隅に確認しながらも、必死に「見てみぬふり」を続けてきた。
しかし。しかししかし。
もうそんな真似ではごまかしの効かない状況になってきた。
今まで、周りの連れが「あー、卒論マジ憂鬱だわ」とか言おうもんなら「なに?卒論?マジで余裕だて、ってかラーメン食いに行こまい」などと虚勢を張り続けてきた。
だがしかし。だがしかしだがしかし。
ハッタリが通用する平和な時代はとっくの昔に過ぎ去ったのである。
倒さなければならない。奴を。
平和な時代(とき)を取り戻すために。
今ここに、強大な敵と矮小なおれの、果てしない戦いの時代が幕を開けたのであった。
後半へ続く。