友人たちカラオケに行ってさっき帰宅。またもや徹夜明けだ。
眠らずに 朝が来て フラつきながら帰る という向井秀徳の歌詞をそのままに。誰もいない電車は乗ってないが。


カラオケにて、場の雰囲気が盛り上がってきたところでおれはあの曲を入れた。
某人気アイドル主演のアイスホッケードラマの主題歌として注目を浴び、最近至るところでかかりまくっている、そうあの曲。
QUEENの「BORN TO LOVE」である。
「プ○イドなんて大嫌い 会話中にいきなり『メイビー?』とか言いだす奴は地獄へ落ちろ同盟」の総長としてならしているおれは、敢えてこの曲を「プラ○ドの主題歌」としてではなく、天国のフレディへ捧げる意思をもって歌うことを決意したのだ。
フレディ・マーキュリーの野性的な声量と伸びのある高音が魅力のこの曲、素人が歌うことは困難を極めることは了解の上である。
しかし高校時代に軽音部に所属し、ヴォーカリストとして「ルナ○ー」とか「ラル○アンシエル」などをライブで歌いまわしていたという、今ではとても他人に面と向かって言えない、若気の至りとしか表現できない禁断の過去を持つおれは果敢にも、フレディに一歩近づくべく高らかに歌うのだ。
この曲、「BORN TO LOVE」を。




さぁ、イントロが流れだした。今こそ、喉をかっぴらき、そう、ただ、歌うのだ。





あーい わーずぼーーん とぅ〜〜〜〜〜ら〜〜びゅーー





なんてことだ。室内は爆笑の渦だ。





あーい わーずぼーーん とぅざキェエロビュウゥゥゥゥ〜〜〜





高音部分を気合を込めて歌うおれを見て、腹を抱えて笑いまくる友人たち。
そんなにおれが面白いか?たしかに高すぎて声は裏返ってはいるが。





えぇぇ〜〜〜ぶりしんごびぃーい・・・おぶまるぁぁああああいい・・・





自分を追い込むべく原キーで挑戦したおれが間違っていたのか?とにかく、床に転がって友人たちはまさに、笑いころげている。
そんなにおれが面白いか?????たしかに、気合のあまり「L」の発音が思いっきり巻き舌だったりしたが。


友人たちの反応を尻目に、曲が進むごとにおれのボルテージは上昇していく。
次第に身体の躍動を抑えきれなくなり、振り付きで熱唱しはじめるおれ。
あぁ、もういてもたってもいられないぜ。ただ、我を忘れて歌うのみ。
おれは片手を天に突き上げ、マイクにひたすら声を叩きつける。
しかし、おれの気合がこもればこもるほど、痙攣して爆笑する友人たち。
おいこらそこっ!全身全霊を込めて歌うおれをカメラ付携帯で撮ってるんじゃねぇ!!!


最後は声も枯れがれになりながらも、友人の口から放たれる「キモイ」だのなんだのという冷ややかな言葉に心を痛めながらも、おれは歌いきった。
思い残すことは何もない。